原付バイクを購入する予定の方
原付バイクを所有している方
保険料を節約したい方
バイク保険とファミリーバイク特約の違いがよく分からない方
原付バイク(=原チャリ、スクーターとも)を購入した、または借りて運転する場合は必ず任意保険に加入しましょう。当記事では保険の加入方法ごとのメリット・デメリット比較のほかバイクの種別などについても解説します。
筆者が試算した保険料も例示しますので、どのように加入すれば良いか迷っている方のご参考となれば幸いです。二輪車はその特性上から、自身のケガの補償(人身傷害保険や搭乗者傷害保険など)の保険料が高い傾向にあります。
なお、ファミリーバイク特約ではロードサービスが原則付帯しませんのでご注意ください。
★損保大手4社を前提として解説します。
・東京海上日動
・損保ジャパン
・三井住友海上
・あいおいニッセイ同和損保
また、当記事における『原付』は内燃機関を原動機とする125cc以下の原動機付自転車のことを指します。
保険の加入方法
原付バイクの任意保険は加入方法が2通りあることをご存知でしたか?
①単体でバイク保険に加入する
②車の保険にファミリーバイク特約をセットする
任意保険に入るという意味では両者とも同じですが、それぞれ覚えておきたいポイントがあります。
どちらで加入すればいいの?
原付の使用実態などから判断しますので、まずは詳しく見ていきましょう。
①バイク保険に加入する
車の任意保険と同じように、単体でバイク保険に加入する方法です。
対人対物やケガの補償は必要に応じて保険金額を設定します。
ノンフリート契約となり等級を保有するので、無事故が続けば等級が進み保険料が安くなります。逆に事故で保険を使用すると等級が下がり保険料が高くなります。
保険料の例
年齢条件は〈年齢問わず/21歳以上補償〉から選択しますが、本人限定などの運転者限定は設定できません。
年齢条件別の保険料試算例は次の通りです。
バイクを買い替えた場合
原付を買い替えた場合は保険会社に連絡し車両入替の手続きを実施します。車の任意保険と同様です。
排気量が125cc以下の原付同士なら車両入替による等級の引き継ぎが可能ですが、125cc超のバイクへは等級引き継ぎができません。
そのため125cc超のバイクを購入した場合は新規でバイク保険に加入する必要があります。
排気量で等級継承(車両入替)の可否が決まっています。
購入した原付の | 排気量等級継承可否 |
125cc以下 | 〇 |
125cc超 | × |
(等級継承可否の例)
ホンダ ディオ → スズキ アドレス 〇
ヤマハ ビーノ → ホンダ CB400SF ×
事故で保険を使った場合
バイク保険は等級を保有するため、事故で保険を使うと保険料が上がります。バイク保険における保険使用時の保険料シミュレーションを作成しましたのでご参考ください。
【保険使用時の保険料差額シミュレーション】
※加入条件等により試算結果は異なります。
6S等級で保険を使用すると、3年間で132,720円もの差額が開いています。支払保険金の額が少ない場合は保険を使用しない方がいいケースも考えられますね。
②ファミリーバイク特約をセットする
ファミリーバイク特約という名称を聞いたことがある方は多いはず。
自動車の任意保険にこの特約をセットすることで原付の保険に加入することができます。
車両を特定しないので標識交付証などの書類を提出する必要はなく、保険会社へ連絡すれば加入手続きが完了します。
(事故対応時には書類コピーの提出もしくは車台番号等の申告が必要です)
つまり排気量が125cc以下なら基本的にどの原付でも運転可能です。また、一時的に借りる原付についても補償対象となります。
そしてバイク保険にない最大のメリットは、ファミリーバイク特約は事故で保険を使っても次契約で保険料が上がらないという点です。
事故区分が「ノーカウント事故」に該当し、自動車保険の等級に影響しないためです。
私が直近で対応したファミリーバイク特約での事故事例をご紹介します。
・対人対物:無制限
・人身傷害:3,000万円
・傷害一時金特約
・搭乗者傷害保険:200万円
・ファミリーバイク(人身傷害型) 特約単価 年24,510円
【事故の概要】
原付バイクで車列をすり抜ける際、信号渋滞で停止中の車に接触してしまった
当方 | 先方(相手) | |
過失割合 | 100% | 0% |
損害状況 | 損害なし | 助手席側ドアミラーが割れた |
修理代 | 0円 | 約79,000円 |
備考 | – | 死角センサー搭載車につき修理代が高額に |
ファミリーバイク特約で先方の修理代約79,000円を保険金支払いしたにもかかわらず、保険料は上がりません。
仮に対物保険で100万円の保険金を支払ったとしても同様です。
バイク保険・・・保険料が上がる
ファミリーバイク特約・・・保険料が上がらない
補償内容と保険料の例
ファミリーバイク特約は各社とも補償内容の異なる2種類を展開しています。こちらは損保大手四社の例です。
東京海上日動
ファミリーバイク特約「人身傷害あり」タイプ
ファミリーバイク特約「自損事故傷害あり」タイプ
損保ジャパン
ファミリーバイク特約 人身傷害型
ファミリーバイク特約 自損傷害型
三井住友海上/あいおいニッセイ同和損保
ファミリーバイク(人身傷害型)特約
ファミリーバイク(自損・無保険車傷害型)特約
両プランの大きな違いは、他の自動車との事故(交差点での接触事故など)の際に自身のケガの治療代が支払い対象か否かという点です。
自損・無保険車傷害型は特約保険料の安さが魅力ですが、自身のケガ等の補償は最低限です。以下はあいおいニッセイ同和の自損傷害保険の規定を抜粋したものです。
別途生命保険や医療保険に加入している方は自損・無保険車傷害型を選択してもいいかもしれません。
ロードサービスについて
ファミリーバイク特約では、事故や故障で原付が動かなくなった際に役立つロードサービスが原則付帯しません。ロードサービスが必要な方はバイク保険に加入するか、JAF会員になりましょう。
ファミリーバイクの対象車種
ファミリーバイクで運転できる原付は排気量が125cc以下の二輪車と、50cc以下の三輪以上の自動車です。
ナンバープレートの色や形で判断することも可能です。
また、電動バイク・電動スクーターなどの場合は定格出力1.00kW以下の二輪車と0.60kW以下の三輪以上の自動車がファミリーバイク特約の対象車種です。
車両区分 | 基準 |
二輪車 | 総排気量125cc以下 定格出力1.00kW以下 |
三輪以上の自動車(側車付二輪含む) | 総排気量50cc以下 定格出力0.60kW以下 |
ファミリーバイク特約の補償対象者
ファミリーと名の付く通り、この特約で原付を運転できる人の範囲は次の通りです。
バイク保険VSファミリーバイク特約
保険料の比較
両者の保険料を比較します。あくまで一例ですので参考としてご確認ください。
バイク保険
対人対物:無制限/年齢条件:21歳以上補償/ロードサービス:あり/記名被保険者年齢:39歳
ファミリーバイク
対人対物:無制限/人身傷害保険:5,000万円/傷害一時金特約あり
等級が進むことで、将来必ず試算例通りの保険料になることを示したものではありません。契約条件や加入する保険会社、改定等により試算結果は異なります。なお、便宜上ファミリーバイク特約の保険料を一定としております。
メリットとデメリット比較
バイク保険のメリット
・ロードサービスが付帯する
・保険を使わなければ毎年等級が進む
・等級が進むと保険料が安くなる
ファミリーバイク特約のメリット
・保険を使っても保険料が上がらない
・車両を特定しないため、特約セット時に書類の提出が不要
・原付を買い替えた場合も保険会社への連絡は不要
・特約1つで家族全員が補償の対象になる。
バイク保険のデメリット
・事故で保険を使うと等級が下がってしまう
・新規保険加入の際、担当者との対面手続きが必要になる場合がある
・加入時または原付買い替え時に標識交付証などの提出が必要になる場合がある
ファミリーバイク特約のデメリット
・ロードサービスがない
・125ccを超えるバイクは補償対象外
・車の任意保険に加入していなければファミリーバイク特約をセットできない
・保険料が安い自損傷害型ではケガ等の補償が最低限
どちらを選択すべきか
バイク保険とファミリーバイク特約の特長を解説しました。では、どちらを選択すべきかの判断基準を例示します。
ロードサービスが必要な方
長い期間、原付に乗る予定の方
原付は1台しか所有しない方
車の任意保険に加入していない方
(車の任意保険に加入していることが前提)
家族で複数台の原付を所有する家庭
JAF会員なのでロードサービスが不要な方
別途生命保険や医療保険に加入しており、ケガ等の補償は最低限でOKな方
判断ポイント チェックリスト
- ロードサービスが必要か?
- 長期間乗るか?
- 複数台の原付を所有するか?
- 別途生保に加入しているか?
あなたの生活実態に沿った加入方法を選択しましょう。
保険料も重要なポイントとなりますが、契約条件や保険会社によって大きく異なります。そのため、まずは現在ご加入の保険会社に連絡し見積もりを取ってみることをおすすめします。
保険料の節約について
ファミリーバイク特約は代理店型のみならず、ネット型損保(ダイレクト型/通販型)でもセット可能な特約です。私たちが支払う保険料は、実は「純保険料」と「付加保険料」に大別されます。
ネット損保は、代理店手数料や店舗維持費などの「付加保険料」部分を抑えることができる関係上、保険料が安い傾向にあります。
特定の一社のみの見積もりを取ることは比較的簡単ですが、節約のために複数社の見積もりを取ろうと思えば時間と手間がかかりとても大変です。一括見積もりなら、一度の入力で最大20社の見積もりを取ることができるため、保険料節約効果が期待できます。
詳細については、【ランキング】一番安いネット損保はどこ?12社比較!任意保険を比較して見直そう!の記事で解説しています。
この試算例では、保険料が最大5万円以上節約できています。ファミリーバイク特約をセットした場合の比較でいくらになるかは、こちらからお試しください!
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ファミリーバイク特約Q&A
- ファミリーバイク特約で補償される人の範囲は?
-
① 記名被保険者
② ①の配偶者
③ ①または②の同居の親族
④ ①または②の別居の未婚の子
※記名被保険者とは、自動車保険で契約している車の主たる運転者のことです。
ファミリーバイク特約を1つの契約に付帯しておけば、上記の全員が補償対象者となります。 - 契約の車に「本人限定」をセットした場合、ファミリーバイク特約で原付を運転できる範囲も本人だけになりますか?
-
いいえ。契約の車にセットされた「運転者限定」「年齢条件」「使用目的」などは適用されないため、所定の家族全員運転することができます。
※家族の範囲は前項を参照 - 借りた原付も補償対象ですか?
-
はい。一時的に借りた原付バイクも補償の対象です。
- 原付で事故をして保険を使うと保険料は上がりますか?
-
いいえ。ファミリーバイク特約での事故は「ノーカウント事故」に区分されるため、保険を使用しても次契約の保険料は上がりません。
- ロードサービスは付帯しますか?
-
いいえ。ファミリーバイク特約ではロードサービスが原則付帯しません。ロードサービスが必要な方はバイク保険に加入するか、JAF会員になりましょう。
- 電動キックボードはファミリーバイク特約の対象ですか?
-
はい。電動キックボードは「原動機付自転車」に区分されるため、定格出力が1.00kW以下のものはファミリーバイク特約の補償対象です。
余談ですが筆者は原付〜大型バイクを8台乗り継いだ中で、二種原付(Kawasaki KLX125)はファミリーバイクではなく単体で保険加入しました。
JAF会員ではないため、ロードサービスの必要性を感じての選択です。
保険は一度加入すると見直しの機会が少ないもの。当記事が皆様の保険見直しの参考となれば幸いです。
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